スーパーマーケットでは、ほぼすべての商品に値札が付く。あとは買うか買わないか。購入に際しての駆け引きはほとんどない。特売日やポイント制などがそれをさらに少なくする。下手に駆け引きしようとすれば「カスハラ」にとられる可能性さえある。
こうした実態は、正確に言うと売買ではあるが「取引」とはいえない。ところが、BtoBの世界はたんなる売買ではない。駆け引き・取引を通じて売買契約が成り立つのが普通だ。
見方を変えると、スーパーではほぼすべて、売り手が価格を決めている。お客はそれを「買うか買わないか」で対応するのが普通。仕入れ価格にもより、売れなければ値下げしてくるかもしれないが、それも結局、売り手しだい。
でも、BtoBでの価格決定は売り手だけがするのではない。製品によっては、売り手が強い場合もあるし、自動車産業などでは買い手が非常に強い価格決定権限を持つ。これは結局、資本力や技術力、そして情報力によって決まることともいえる。
ここからは単なる私見ですが、スーパーでの買い物に慣れている人は、株式の売買でも同じように考える傾向があると見ている。
市場価格があり、それが絶えず変動する。そのどの時点で買うかはしっかりとした信念をもって判断するが、売り時がだんだん分からなくなるケースが結構ありそうだ。取引に慣れていないからだろう。「ネット証券でのトレーディングだから、取引など無関係。ましてや、多くがAIに依存している状況ではないか」と思われるかもしれませんが、ことはそう簡単ではない。見えないレベルでの駆け引きというのはやはりある。AIも、つまるところ非常に優れたツール。だから、少額の個人は結果的にジョーカーを引きやすくなる。ひとつの銘柄にこだわりやすくなる。
今の市場、相場の性質・性格についていろいろ検討し、価格を決める背景にあるものについての感度をさらに高める必要がありそうです。