ある人が、神様の像を彫刻し、それを市場で売っていた。でも、一人も買いたいという人がいない。
それで「ご利益のある神様の御用はありませんか」と大声を出した。
すると、そこにいたある人が言った。「それが本当にご利益があるのなら、なぜ売るんだ。自分でそのご利益に授かればいいだろう」と。
それを受けて売り手は「そうですね。でも、私に必要なのはいますぐの利益なのです。ところがこの神様ときたら、利益をお授けになるのがいつも遅いのです」と応じた。
ご利益とは、いったい何なんだろうか。
それにしても、この売り手の類はイソップの時代も今も、とても多い。「こうやったら儲かるよ」と言いまわるのだ。本当に利益があるのなら、他言無用だろう。要注意だ。
リスクを取る覚悟ができていれば、この売り手の類に同調することもありだろうが。