再び「鬼」の話です。
「大切なものは目には見えない」のが本当なら、目に見えない「鬼は大切なのか」。まさか、と思われるかもしれないが「とても大切」なのだ。なぜか。
死の恐怖は、我々が生きている中でもっとも強烈なものと言っていいと思います。何が怖いって、この世からいなくなる、触ることも感じることも、何もできなくなる。持っていた財産も知識も記憶も、消滅する。こんな怖いことはない。
しかし、だからこそ、目に見えない「鬼がいるからこそ」逆に生きていることが楽しくなってくるのではないでしょうか。比較する「とんでもない」ようなものがあってこそ、初めて我々は安心できる。
同様に「富と福がない」貧困と言われる人たちの存在を確認することによって、裕福な人はようやく「自分は幸福で豊富だ」と実感できるのではないでしょうか。あくまでも、そう見える人に比べて、ですが。
逆に「羨む」という気持ちを持つとき、その人は自分が貧乏であるということを自ら認めているに等しいいえるかもしれません。